友達のときは全然そんな気配を見せなかったのに、付き合ってからの彼女はよく赤面する。俺も別に恥ずかしいセリフを頻繁に言っているわけではないのに。

まあ、昔と比べてかなり意識されているみたいだからこっちとしてはウェルカムだけども。



“ごめんね”

濃紺のセーラー服を着た彼女の姿が、そう告げる彼女の声が、付き合っている今でも頭を過ることがある。


「……しゅんぺい?」


考えていたことが顔に出たらしく、彼女が甘えたいときにだけしか呼ばない名前を口にする小杉。

まあ、その甘えたいときっていうのも本人は無自覚みたいだけど。


「なに?」

「……抱いてくれないの?」

「~~!!!」


あーーーー、くっそベッドの上でその言葉はダメだっての!


「なに、どうした発情期か?」

「ちっ、ちがう!!!!さっきの!!!言わなかったの残念がったのかなあって思ってこの蘭様が気をきかせてあげたの!!!!」


彼女の動揺が伝わってくる。下心なし。今口にした言葉が本心だということも伝わってくる。


「抱いてほしいの?」

「ほ、ほしくありますん」

「どっちだよ」


ふはっと笑いがこぼれる。



キス以上はしたことはない。今のところそれ以上に手を出すつもりはない。


いやこんなん言ってるけどちゃんと健全な男子高校生です。安心してください。