「小杉~ 起きろ~」
呼びかけながら、机上に散らかった3冊ほどの問題集を覗き込む。
そのうち1冊を手にとり、パラパラを中身を確認する。真っ白だ。
しかし……オールでゲーム大会をしたときも眠くなるというよりむしろ元気になる小杉がこの平日午後2時に簡単に寝落ちするとは何があったのやら。
夜遅くまで課題をしていたと言ってほしいけれど。
なんといってもこいつが溜めていた数学の問題はまだ100問を越えている。
あさってから3学期が始まるというのに終わらせる気はあるのか。俺は終わる気がしない。
この机上で散らかっている問題集はここで爆睡している小杉蘭のものだ。
ちなみに俺の課題はすでに終了している。
「小杉ー 起きろー」
小杉の顔を覗き込みながら声をかけてみる。
起きる気配はな……、……。
……こいつ寝たふりしてやがる。
先ほどは見えなかったひくひくと動く口元を発見し、確信を得る。
……しょうがねえ、付き合ってやるか。
「小杉ー 課題やんねぇの?」
「……」
「小杉ー」
まったく起き上がる気配はない。
何を狙って寝たふりしているのか……