「ちょ、ちょっと!!!笑い過ぎ!!!」

「いやー、俺もしばらくは幸せボケに浸らせてよ」

「幸せボケって、~~~~!」


本当に照れくさくなるからやめてほしい。

だめだ、今いっしょにいたら恥ずかしさで死ぬ。


そう思って、彼との距離を一歩空けようとすると、


「どこ行くんだよ」


逃がさない、とでも言うように彼の左手が私の右手をしっかりと捕らえた。


「ちょ、え、ちょ!!!!」


パニックだ。パニックだ。


恋愛経験皆無に等しい私。

初めて告白されたのも、初めての彼氏も横澤だ。


こういうの、本当に慣れていない。


男友達とはやっぱり別だ。

同じことされても、意識しているのとしていないのとでは雲泥の差だ。


彼には“恋愛経験何もない”ということを赤裸々に話しているからそれを分かっているはずなのに!!!

なんで!!!こんな!!!近いの!!!!?


「いや?」


私の表情を覗き込みながら尋ねる彼に、自分のキャパシティーを限界突破している私は返答のしようがない。