「ちゃんと聞くから。ゆっくりでいいから」
水分補給して落ち着いた私に、横澤は優しい言葉をかける。
ああ、こういうところ。
いつも私の言葉を待ってくれるところ。私を見てくれるところ。
“とっても大事そうに先輩のこと見てましたよ?”
“蘭、あんた横澤にすごく大切にされてるって自覚しといたほうがいいよ”
ああ、もう横澤っていつもこんな風に私を見てくれてたんだ。
それらの言葉の意味を、やっと感じることができた。
「……いま、美和と福山と一緒だったの」
「うん」
「私、すごい自分勝手で、」
「うん」
「横澤のことすごい、たくさん傷つけちゃったと思うし、」
「うん」
「まだ全然なんて言ったら分かんないけど、でも、でも、」
「うん、ゆっくりでいいから」