「はあー……こんな時間に制服着たまま1人で出歩くなって。それで、翔は?ちゃんとおまえに紳士対応してくれたのか?」
怖い空気は溶けて、呆れつつも、笑いながら話す横澤。
さっきのこと、なかったかのように“いつも通り”の横澤。
こうしてくれるのは、また私が混乱して、気まずくなるのが嫌だから?
ぎゅっと両手に力が入る。意を決する。
「横澤に、会いに来た」
「っ、」
その瞬間、彼が息をのんだのが、わかった。
「あのね、あのね、……あのっ私、」
何から話せばいい?
何を言えばいい?
「わかったわかった。落ち着けって。とりあえずこれスポーツドリンク、飲め」
ベンチに置いてあったボトルを手渡され、お言葉に甘えて水分補給。
インディゴ色のボトル。横澤の。何度か見たことがある。
えっ、これ間接キスとかになるんじゃ。って今更なこと思うくらい、私は今、彼のことをすごく意識している。