そんな私を見兼ねて、美和がゆっくりと口を開いた。
「じゃあそれをそのまま横澤にぶつけてきなよ。答えは高校でも相変わらず優秀なあいつが教えてくれるでしょ」
「えっ美和、」
「はい、私と福山の過保護はこれでおしまい。はやく行かないと横澤が勝手に“また距離とられる”って自己完結しちゃうでしょ」
美和は優しく私に微笑むと何事もなかったかのようにメニューを手に取り、「私も何か食べようかなー」なんて別の話題を福山に振っている。
一方の福山も「太るぞ」なんて美和を煽るようなことを口にしては死刑宣告を告げられるという中学から変わらない馬鹿なやりとりを繰り広げている。
美和と福山にとってこの話はおしまい。
そうだ、これは、私と横澤の話。