隣と正面で繰り広げられる夫婦漫才みたいなものをボーっと視界に入れていた私。
放心状態の私を見兼ねた福山が、気づかないうちに美和を呼び出してくれたんだろう。
「ねぇ、」
「なに?」
私の声に反応して、福山から経緯を聞くのを中断した美和がこちらを向く。
「2人はどうやってトモダチに戻れたの?」
その瞬間空気が凍った気がしたが、今の私に冷気は感じなかった。
中学3年のとき、美和と福山は付き合っていた。
中学卒業前には別れていて、現在は美和も福山もそれぞれ付き合っている人がいる。
「どうやってって……」
「時間と周りの環境だろ」
アイスコーヒーを啜りながら福山が即答した。
振ったのは美和で、振られたのは福山のほうだった。