「いきなり招集って、なにかと思った」


そんなことを呟きながら、美和は先にボックス席の窓ガラス側――私の左隣に座る。



「福山からの連絡も久しぶりだったし」

「ごめんな。熊沢どこにいた?」

「予備校の帰り。ちょうど予備校出たとこだった」

「じゃあ帰宅一歩手前、間一髪セーフだな」

「感謝してよねぇ。福山が手に負えないとかメッセージ飛ばしてくるから」

「そもそもこいつはおまえの管理だろ。ちゃんと脱走しないように見張っとけよ」

「いやいやいや。ていうか福山も暴走する蘭を止めてやってよ」

「俺には小杉経験値があまりないからなあ…… あ、熊沢経験値は高いから」

「いつの話してるの」

「いつぞやの話」

「あのねぇ、………とりあえず蘭がこんなになっている理由を説明して福山」

「……そうだな」