「……ああ、ブレザー。これ、俺の?」

「おまえの」


一言、それだけ置いて彼はスタスタと校舎内の方へ歩いていく。



「よこっ、―――――」


横澤、と名前を呼ぼうとしたのに。

やっぱり声にならなくて、ただ、暗闇へ消えた彼の背中を無言で見送ることになった。




「――――えっと」


この場に残されたのは私と、気まずげな福山と、肩に羽織った彼の温もりが微かに残ったブレザー。



「~~~~ふくやまああああああ」

「うっるせえ!!」



さっきまで声にもならなかったのに、その分も合わせてやっと、やっと、自分の感情を爆発させることができたのだった。