「小杉、なんでいる?」
そんな私にお構いなしで、横澤が低いテノールを落とす。
「……福山に用がありまして」
「翔に用があって、なんで俺のところに広樹と来てた?」
「……な、なんとなくです」
「……はあ、」
こんな状況ごまかせるわけないのに、明らかにごまかしのポーズをとる私に対して、彼は深く重いため息をつく。
「全部、聞いてたんだろ」
「は、はい……ごめんなさい」
「この中央のブレザー、誰の?」
うつむいて、地面へ向かう私の視界に、横澤の右手が入る。私が今身に着けているブレザーをその手で2度引っ張った。
「ふ、ふくやま」
「脱いで」
「え。脱いだらセーラー服バレます……」
「俺のやるから」
「え」