「おい、白崎まだここで何して……」
私が広樹くんたちの間に割って入る前に乱入してきた声、は。
「………」
私を視界に捉えて、今まで見たことのない歪んだ表情を横澤が見せた。
や・ば・い。
一気に血の気が引く。
やばい。逃げなきゃ。でも逃げ場がない。分からない。
「……広樹、白崎。先に帰っといて」
「え、横澤の知り合いなの?」
「説教してくから帰っといて」
間髪入れずに飛び出した横澤のぶっきらぼうな声にただならぬ怒りを感じ取った2人は「じゃあバイバイ……」「また明日……」と言い残し、そそくさと昇降口の方へ駆けて行った。
やばい。いつもだったら簡単に言える「置いて行かないで!」という声も2人に向かって出せないくらいにいろいろな衝撃が重なっている。