「なんでもねぇよ!なあ、浩一!」
「うんうん!ごめんね、人違いだったみたい!!」
福山も私と彼の様子を見て状況を把握した爽やかくんも必死に口裏を合わせている。
私を見て“噂の”ってまで言いかけられたんだ。
気になるし、不愉快。何でもないで済ませられない。
「なにが“噂の子”なの?」
「だから人違いで、」
「人の顔見て“噂の”ってまで言いかけられて何でもないって言われて。こちらとしては、すごく不愉快なんですけど」
真顔で淡々と告げると、福山が気まずそうな顔を見せた。
しつこくなかったことにしようとし続けないところを見ると、話すか葛藤している様子だ。