「え、また横澤とごはん行ったの?」
「うん」
昼食後のおやつタイムを1人で楽しんでいると、私の後ろの席で次の古典に備えて現代語訳をしている美和がペンを止めて、こちらに怪訝な顔を見せた。
彼女―――熊沢美和は私の中学からの大親友だ。
「……なーに、その顔。横澤が了承したからごはん行ったんだけど」
「いや、……横澤が“いーよ”って言って行ったなら別にいいけど。蘭、無理やり言わせてないよね??」
「え、美和ちゃんひどくない?中学からの親友蘭ちゃんをどれだけ信用してないの???」
そんなおふざけをしつつ、スマホ上に横澤とのメッセージのやりとりを表示させ、主張する。私は潔白だ、と!
「いや、……うん。そうかあ」
それなのにも関わらず、美和は納得のいかない声を出す。