こいつ私の扱いが面倒になってきているな……
って、
「え、ちょっと待ってよ」
まさか本当に出発するとは……
右肩にかけたスクールバッグの中から取り出した財布を手にして、彼に続いて立ち上がる。
「横澤……あんた絶対彼女できないね」
「告白されたこともない小杉に言われたくないね」
なっ、
「あ、あるし!!!」
返事をしてしまったあと、すぐに後悔した。
これは、地雷……
「……へぇ?」
「あんた……忘れたとは言わせないからね?」
彼の左手にあった伝票を取り上げて、小走りでレジまで向かう。
くっ……なんてことだ。結局この話に戻ってしまった。
“成立するっしょ”
“私とあんたがいい例でしょ”
私はそう思っていても、彼の本心はどう思っているのだろうか。