「なに?何か言った?」

「おまえ、そんなんだから彼氏できないんじゃないって言った」

「どういう意味」


むっと口をへの字にして意図を聞く。


「こうやって俺と出かけるから誤解が噂として広まって、身近にいる男から対象外にされんの」

「はあー?彼氏から奪ってやろうっていうほど私は魅力的じゃないってこと!?横澤は彼氏じゃないけど」

「それはおまえの身近な男に聞いてくれ」

「あんた、私の身近な男じゃん」

「………ノーコメント」

「はあーー!?」


身近な男に聞けって言った身近な男本人が“ノーコメント”!?

こいつ……


「ほら、食べたならもう出るぞ」


それ、とさっきまでティラミスがあった何も乗っていない皿を指差される。


「話を逸らさないでください~!」

「はいはい」


彼は適当に流して伝票を持って席を立つ。