情報通信網と輸出入に壊滅的なダメージを受けた結果、電力やガソリン、灯油の供給すら危うくなった。

 今まで当たり前だった全ての電子決済やクレジットカード決済はできなくなってしまい、現金が全てという世の中に逆戻りしている。

 ATMももちろん使えず、窓口でハンコを押して現金を払い戻すという、アナログな方法に戻っている。記帳も手作業じゃないと無理、という場合があるらしく、銀行でお金をおろすだけで、三時間待つのは当たり前になってしまった。

 私達学生は、学校が休みで暇なのにTV放送は全く受信できず、信頼できる情報は新聞とラジオだけ。

 相変わらずスマホはほぼ使えず、IP電話もダメ。

 最初のうちは、アンテナを積んだ車が定期的に巡回していたけれど、たった数台の車だけでは回線がパンクしてしまい、使い物にならなかった。

 個人間のやり取りは、我が家の電話のような昔ながらの固定回線しか使えない。


 実は私の生活はあまり変わっていない。

 部屋でラジオを聞き、電話は固定回線だけ。朝はTVの音だけ聞いて、新聞を読んでいた。今はTVが使えないだけで、それほど不便は感じない。

 ただ、あんなに苦痛だと思っていた女子のグループから離れられたのは嬉しかった半面、友達と会うこともできない毎日は、こんなにもつまらないのかと嘆いていた。