もちろんスマホもいまだに使えず、電波時計すら使えない。

 そういえば、学校の時計は全部電波時計だった。

 この先、当分の間、電波時計も使えないだろう。

 あれを買い替えるだけでも結構なお値段だろうな、などとと考えてしまう私は、根っからの貧乏性なのだろう。

 テレビもダメ、ネットも使えないという状況のため、まだまだ人の心は不安定なままだった。

 北海道はかなり寒さが厳しくなってきたというのに、暖房も満足に使えないため、みんな不安を抱えて生活していた。

 あとどれくらいで灯油が自由に買えるようになるか、とても不安だ。

 これでもかなり節約して使っていたけれど、六月に満タンにしてもらった灯油タンクが、もうすぐ空っぽになってしまう。

 それもこれも、外国からのタンカーが航行できるようになるまでの我慢だとラジオでは盛んに「この冬を乗り越えよう」キャンペーンとして、節電を呼び掛けている。

 電力の供給がスムーズに行われるようになるまでには、まだ少しかかるだろう。

 北海道という極寒の地で、燃料なしに「この冬を乗り越えよう」などというのは無謀すぎるよね、なんていうことを、優理君と電話で話していた。