ボクに何かを言われることもなく、ブシはセオリー通り青果売り場から歩き始めた。ボクはできる限り平静を装い、商品をカゴに入れていく。

 特売のキャベツ、キュウリ、トマト。せっかくだからみんなで食べようとスイカのハーフカットも一つ。

 次の売り場で豆腐と竹輪をカゴに入れ、魚売り場では今日は食指が動かず何も選ばなかった。

 精肉売り場で予定通り通りブタのこま切れを選んだところでボクはブシを見た。

「欲しいものない? お菓子は? かき氷買って帰ろうか?」