「刀なしでは守れん」
「ブシコは強いから、素手でも戦えるでしょ?」
「戦えん」
「大丈夫」
「無理じゃ」

 マユとブシのやり取りが続く。

「あなたは強い。絶対に大丈夫」

 無言でブシは顔を横に振った。

「――分かった。だったら、これ預けとく」

 マユは鞄から黒い物体を取り出し、ブシの小さな手のひらに乗せた。