「そうか」

 武士は、構えを解き、背負っていたピンク色のリュック――作務衣にリュックは似つかわしくないが――を下ろし、チャックを開けると、中から何やら取り出した。

「ん」

 手にしたものをこちらに差し出してくる。

「……何?」
「読め」

 武士が手にしていたのは封筒だった。よくよく見ればうっすらとピンク地に、それより少しだけ色の濃い桜の花びらを模した柄が付けられた封筒。手に取るも表面には宛先も何も書かれていない。

「早く読むのじゃ」
「開けていいの?」
「むろんじゃ。早くせい」