何せ、マユは着の身着のままでこの家に居座っている。スマホの充電器でさえ、ボクと兼用になっているという始末だ。着替えは度々、家に取りに戻っているから、それなりにボクの家の方にシフトしてはいるものの、マユのメイク道具一式をこの家で見た記憶がない。

 それで事足りるのだ。何故なら、マユは普段ほとんどメイクはしないから。億劫なのが一番の理由だろうが、実はマユはメイクを施すことで驚くほどのクールビューティーに変身する。三白眼気味の目も、奥二重も、ツケマをしてアイラインを引けば、涼やかな目に激変する。