「いつ出発?」

 普段、買い物に行く時は、マユにブシを見て貰っている。ブシは聡い子だし、勝手に家から出たりするような子ではないことは重々承知しているが、だからといって万が一急な来客でもあった場合にブシに対応させるわけにはいかない。
 
 そのような時は居留守を使えばいいのだが、実直なブシのことだ。言いつけても、多分、玄関を開けてしまう。

「えーっと」
 マユが掛け時計を見た。

「4時頃?」
 既に3時を少し回ってしまっている。

「全然時間ないじゃん。晩御飯の買い出しに行こうと思ってたのに」