悪魔の無限ループ。地獄の堂々巡り。ボクは、武士の手前20メートルほどのところただただ途方に暮れていた。

 もちろんどれだけ身悶えしたところで目下の問題が解決するわけではない。スマホで時間を確認すると、もう少しで午前10時になろうとしていた。

 このままでは何も進展しない。心を決め、家の前まで行くと、間髪を入れずボクは武士に声をかけた。

「あの……」

 武士はこちらの存在に気づくや否や、腰を少し落とし、睨みつけるようにしながら口を開いた。