欠けた爪の先端を整えるところから始まって、ネイルが施せるだけの下準備を終えたところで、ボクはマユの顔を見た。

「デザインは?」
「お任せで」

マユは人にネイルをねだるわりには、リクエストはほとんどしてこない。爪に色がついていればいい。その程度なのかと勘ぐった時期もあるにはあったが、今は、ボクのセンスを信じてくれていると、そう解釈することにしている。


「りょーかい」

 各々の爪の先半分、かつ交互交互の指に黄色と緑色のネイルカラーをそれぞれに塗った。黄色や緑と言っても、白色の混じった優しい色合いのものだ。そのまま乾燥させる。