だから食卓にはいつも和食を並べている。どれだけマユから苦情が来ようが、健康にもいいし、第一、和食は世界遺産なのだから、大切にして然るべきだ。

 ご飯を食べ終えるとブシは徐に立ち上がり、自身の使った食器と既に空いている食器を流し台に運ぶ。その流れのまま足踏み台をよっこらしょと持ってきて、台に乗ると、袖をめくり、ブシはスポンジに洗剤を垂らす。

 こちらからお願いしなくても、ブシは洗い物を買って出てくれた。一宿一飯の恩、という奴なのだろう。ありがたいのだが、ブシの侍の出で立ちではスポンジは似つかわしくない。