弟と言われても、全く実感がわかなかった。当たり前だ。姉がいることを知ったのもごく最近のことなんだから。


「唯一《ただひと》です」
「晶子です。宜しくね――ユイちゃん」

 そう呼ばれたことにボクは目を白黒させた。すぐ足元で華が笑いをこみ上げているところを見ると、彼女こそ、ボクのあだ名を晶子に教えた張本人に違いない。

「こら」

 華をげんこつする仕草。私のブシコに何をする。すぐにマユに怒られ、ボクは首をすくめる。