「嘘嘘、冗談冗談」

 はにかむ顔まで美人なのだから世の中不公平だと思ってしまう。もっともボクにとってはマユのはにかんだ顔が世界一なんだけども。 

「久しぶりだね……って覚えてるわけないか」

 ボクと晶子は七つ年が離れている。見た目からもっと年が近いと思っていたが、そこまでではなかった。

「すいません」

 言葉が見つからず、ただそう返す。

「じゃあ改めて――はじめまして、弟君」