ボクを見ていた晶子の目が、ボクをのさらに背後に向けられ、そこで止まった。待ち切れず、父親が玄関先までやってきたのだ。

 感動の父と娘の再会のはずだが、二人の間には緊迫した空気が流れている。

 晶子は時々、ノリコさんとは手紙などで連絡を取り合っていたようだが、父親とは完全に音信不通だった。ただ、仲が悪いというわけではないらしい。健吾が麻美と別れた経緯《いきさつ》から、連絡が取りづらかったようだ。

 その晶子が健吾に向かって深々と頭を下げた。

「ご無沙汰しております――お父さん」