父親――健吾がソワソワしている。ソファに座っても貧乏ゆすりをして、それでもジッとはしていられず、立ち上がってはリビングをあっちこっちウロウロする。

「父さん。鬱陶しい」

 一喝するとまたソファに座る。先ほどからその繰り返しだ。

 健吾が海外出張から帰ってきてすぐ、ボクは健吾を問いただした。

「そう言えばさぁ……ボクの母親って清川麻美なの?」

 できるだけさり気なく。あまりに前のめりになって、相手が殻に閉じこもってしまっては意味がない。