「うーん……」

 人差し指を唇に当て、傾げる華の姿は愛らしい。

「微妙」

 その時だ。玄関のドアが慌ただしく開けられ、リビングにマユが飛び込んできたのは。余程、色んなところを探し回ったのだろう。肩で大きく息をして、額や首筋までびっしょり汗をかいていて、ここまで必死なマユを見るのは本当に稀だ。

「フジコ!! 無事か? 怪我してない?」

 問答無用でギュッと華を抱きしめる。ホントにホントに大丈夫? 体中を必死にまさぐるものだから、華は嬌声をあげて、くすぐったがる。


 華は大きく縦に首を振る。

 マユが華から体を離し、華と視線を合わせた。

「大丈夫じゃ。かたじけない、マユたん殿」

 華が突然、ブシに戻ったものたから、ボクは思わず腹を抱えて笑ってしまった。