「ユイはどう? 怒ってる?」

 不意に問いかけられ、ボクは華の方を向く。

「うーん……。全く怒ってないって言ったら嘘になるけど、実感がわかないっていうのが本当のところかな」
「わかない?」

 ボクは華の頭に手を置いて、クシャリとする。キャハと華が嬌声を上げた。こう見るとまだまだ幼い女の子だ。年が8歳だと知ったのも、まだ先程のこと。

「わかないねぇ。姉がいたことも、こんなに人を騙すのがうまい姪っ子がいたことも」
「騙すってひどーい」
「あれ? 女優なんだから褒め言葉でしょ?」