加え、事務所側から新しい提案があった。いや、提案なんて生やさしいものではない。強制的な指示だ。

 その内容は――離婚しろとは言わないが、既婚であることも子供がいることも伏せるようにというものだ。

 健吾に相談をし、事務所側の提案を受け入れることにした。

 しかし狂い始めた運命は尚も暴走を続ける。

 映画は大成功に終わり、賞を総ナメにした。麻美は主演女優賞を獲得、一躍時の人となった。