マユの家はボクの家から徒歩数分のところにある。その気になればいつでも帰ることができるのだ。

 実際、今のように、マユから苦情が出る度に、家に帰るよう促しているが、マユが家に戻る形跡はない。

 よほどブシのことを気に入ったのだろう。マユは一時《ひととき》も、ブシの隣から離れない。

 そんなこんなでマユはボクの家に入り浸り、てっきりノリコさんには家に泊まることくらいは報告しているもんだと思っていたら、少し心配げな顔をした――まぁ、多分、ボクの家にいるのだろうなという当たりはついていたと思うが――ノリコさんが玄関先に来たのは、昨日の晩のことだ。

 うちのマユ、お邪魔してない? 

 マユは無断外泊していた。