それから度々、麻美は公園の同じベンチに座るようになった。

 健吾は麻美を見つける度、卵コッペパンを勧めてくる。麻美が卵コッペパンを受け取ったのは3度目のことで、麻美が自分の身の上話を話するようになるには、さらに5回の回数を要した。

「麻美は健吾さんに全てを打ち明けたの。売れないけれども女優をしていること。業界内の男性との間に子供ができ、しかし結ばれることなくシングルマザーになってしまったこと」

 麻美は週に1、2回のペースで健吾と会い、半年ほど過ぎた頃、麻美は健吾に突然プロポーズされた。