思い返せばその頃からだ。

 ボクが自分の心に蓋をしがちになったのは。諦めることに、割り切ることに慣れ始めてしまったのは。それなのに――。

「お母さんのことなんて知らないって言ってたよね?」

 さすがのボクも強い口調になっていた。

「ごめんね」
「そんな言葉いらないよ!!」
「とにかく話を聞いて」

 ――うるさい、と言い返そうとした刹那、腕をつかまれた。腕をつかんだのがブシだと分かったボクは言葉を飲み込んだ。ブシの前で大人げない態度を取りたくない。せめてもの意地というやつだ。