「今日の昼過ぎに、その女の子がボクの家からいなくなったんだ。さらわれたことも考えたけど、マユは物音一つ聞いてないし、家のどこにも荒らされた形跡もない。ドラマや映画みたいに一瞬で気絶させられたら可能かもしれないけど、実際は、クロロホルムを嗅がせてもすぐには失神しないし、鳩尾《みぞおち》を殴ったり、首筋を手刀で意識を落とすなんて、あまりに危険過ぎるから、小さな女の子にやるには現実的じゃない。だからボクはその女の子が自らの意思で家を出て行ったと思ってる」
ブシやらブシコという呼び名はボクやマユが言っているだけだから、ノリコさんの前では使わなかった。ノリコさんはきっとブシの本名を知っているだろうから、ここで使うには滑稽過ぎる。
ブシやらブシコという呼び名はボクやマユが言っているだけだから、ノリコさんの前では使わなかった。ノリコさんはきっとブシの本名を知っているだろうから、ここで使うには滑稽過ぎる。