ボクはポケットから手紙を取り出して、開いた状態でテーブルの上に置いた。

 その手紙にしばし目を落とし、ノリコさんは大きな大きなため息をつく。

「ったくこんな手紙残しておいてどうするのよ」

 ボクに向けた言葉ではない。その矛先はブシの母親に、そしてブシに向いている。

 しばらく自分の中で反芻しているのか、ノリコさんは何度か首を縦に振っている。

 待ちきれず、ボクの方から口を開いた。