ノリコさんは保険の外交員をしている。その美貌と理知的な話術、愛想の良さと相まって、成績は常にトップクラスらしい。

 ノルマが達成できれば、ある程度、時間の融通がきくようで、月末に近づいた今日も午前中で仕事を切り上げたか、もしくは休みだったということも考えられる。

 ボクに対しては常にウエルカムのノリコさんにしては、玄関のドアは小さめにしか開けられず、まるで立ちふさがっているようにも感じられた。

 ボクを中に入れたくないと言う気持ちの表れ、ということだろうか。

 でも、だからこそより一層、ここでむざむざ帰るわけにはいかない。