ボクは呼吸を整え、門扉にあるインターフォンを押した。

 何も遠くまで探しに行く必要なんてなかった。右往左往する必要もなかった。

 ボクの家からたった二軒隣。50メートルにも満たない距離。移動するのはこれだけでよかった。

 ブシは多分、ここにいる。例えいなかったとしても、ノリコさんが知っているはずだ。

 予想通りブシがここにいて、会えたとしたら、ボクはその時、どうするだろう。

 心配したよと抱きしめるのか。勝手にいなくなったらダメだと叱るのか。

 いや――多分、そのどちらでもない。