ボクにせよブシにせよ、効率的かつ確実な方法を選ぶはずなのに、どうしてあの日、ブシは見ず知らずのボクの家の玄関先に立っていたのかが、ずっとずっと分からなかった。

 ここだけが、あまりにも荒唐無稽に感じられ、あれやこれやと知恵を搾って考えたものの、いつもどこかで疑問点にぶつかってしまった。袋小路に迷い込んだボクの思考は、出口さえも見失ってさまよい続けていた。

 でも、ノリコさんという鍵を見つけてしまえば、そんな迷宮《ラビリンス》も直線道路とさして変わらない。