途中、マユのスマホを何度か鳴らした。マユの方がマユの家の近くにいるのだから、先にたどり着いてブシを探してほしかった。

 でも電話には出てくれない。

 必死にブシを探しているのだろう。昔からマユは一つのことに集中するとその他のことが全て疎かになるのだ。

 イライラしながらも炎天下の中、病院からひたすらにペダルをこぎ続け、汗だくになりながらもボクはマユの家の前に到着した。

 スマホで時間を確認する。夕方の5時を回っている。涼を求めたいところだが、季節は8月だ。日光はジリジリと肌を刺す。