どれだけ頭を働かせても、歯抜けだらけのジグソーパズルを眺めるように、全体像がつかめそうでつかめないジレンマにずっと襲われていた。

 マユを疑ってみたり、必死にブシの気持ちになってみたり。でも、一向に視界が開けることはなかった。

 ――困った時はのりこさんを頼るようにね。

 これが手紙の文面だ。

 ノリコさんとブシはつながっていた。

 自転車の鍵はもう一方のジーンズの後ろのポケットに入っていた。解錠して自転車にまたがる。

 気がはやるが、先ほどよりは前に進む気がしていた。

 向かう先はマユの家だ。