万が一、室内にブシがいたとしても、ボクの視界に入るのはほぼ奇跡だ。

 目だけでは心もとなく、必死に聞き耳を立ててはいるものの、ブシらしい声がボクの鼓膜を震わすこともなく、3Fから5Fまでボクは歩き切った。

 途方に暮れ、1Fの待ち合いスペースにボクは戻った。丁度イスが空いていて、項垂れるように座った。

 これからボクはどうすればいいのか。

 丁度正面に大型の液晶テレビが設置されていた。待ち合いスペースで順番待ちをしている人の時間潰しのためのものだ。今は、クイズ番組が流されており、本来なら賑やかなはずの声も、ただただノイジーにしか感じない。