「え? そんなはずないじゃん」

 マユが上体を起こし、テレビの隣を指さした。

 マユの指し示した指の延長上にはブシの刀。ブシの大切なものだ。やれ、鍛錬だ、稽古だと言っては、いつもリビングで振り回している。邪魔だし、危ない。何度、そう注意したことだろう。