「あのさ」

 ブシに話しかけていた。

「何じゃ?」

 ボクはブシの顔を見据える。

 ブシに聞いてどうする? 心の葛藤。こんな幼い子を問い詰めて何になる? 事情を生み出すのは大人だ。しがらみにがんじがらめになるのも大人だ。ブシだってそんな大人の勝手に巻き込まれているだけ。分かってる。そんなことくらい頭では理解している。

 でも割り切れない。気持ちが言うことを聞いてくれない。