「……たまたまじゃ」
「そか」

 ブシは相変わらず武士らしい口調を崩さない。

「コーヒー飲む?」

 ブシは首を縦に振る。

「砂糖とミルクは? 両方?」

 それに対してもうなずく。

 ボクはお気に入りのマグにコーヒーをブラックのまま注ぐ。ブシには夏らしく涼やかな切子にコーヒーを注ぎ、砂糖とミルクを加えたものを、コルクの丸いコースターとともにテーブルに置いた。