コーヒー豆は近くの行きつけの店から仕入れた中炒りの豆を、アイスコーヒーを作る直前に電動のミルで細挽きにしたものを使っている。そのミルも、安価で買いやすい回転式は豆に熱が伝わってしまい風味が落ちるからと、高価なコニカル式のものを使用している。もちろんこれらの費用は全て父からもらった生活費でまかなっているのだから、贅沢この上ない話だ。
 
 アイスコーヒーのポットを手にしたところで背後で気配。振り返るとブシが立っていた。

「ごめん。起こしちゃった?」

 少し寝ぼけ眼《まなこ》。怪獣のブシはやはり可愛い。そのブシは首を横に振る。