困ったところがないわけではないが、総じてマユは何かにつけて小気味いい。そのテンポが好きでいつでも隣にいたいと思ってしまう。

 幼馴染で親友で恩人なのだ。何より世界で一番大切な人だ。そう断言できる。

 唐突にマユが体勢を変え、左腕が露わになったる。真新しいガーゼ。その奥にはナイフで切られた傷がある。

 マユがブシを匿うことに一役を買っていたとして、では何故、マユはブシを外に連れ出そうとしたのだろうか。

 辻褄が合わない。マユはことあるごとにブシとおでかけをしたがった。ブシが可愛いから、ブシと思い出を作りたいから。夏祭り然り、今日の遊園地然り。そのために様々な可愛い服を用意し、ブシに着せようともしていた。