でも、それだけでは薄っぺらい。ボクがブシを預かる保証にはならない。

 実際、ボクはブシと会った時、けったいな格好をしているブシを無視しようとした。厄介だと思ったのだ。しかし玄関の真ん前に立たれていては、無視したまま家に入ることなんてできない。意を決し、文字通り"仕方なく"ブシに声をかけた。

 これが最初のあらましだ。そして、ブシからいきなり手紙を渡された。読めと促され、便箋に目を走らせ、手紙を読んでも尚、状況がうまく飲み込めず、うろたえ、逡巡し――そうだ、そこでマユに声をかけられたのだ。