「うん、戻った戻った。戻られたよ」
「そか。その……かたじけない」

 ブシがペコリと頭を下げる。

「何が?」
「怪我のことじゃ」
「あぁ、大したことないよ。結局縫わずに済んだし。その程度だからブシコは気にしなくていいよ。ノープロブレムだからね」
「そうか……ならばよい」

 そうか――の後の間が気になった。単に寝起きだからなのかもしれないが、実はブシは先程のボクとマユのやり取りを聞いていたんじゃないだろうかと考えずにはいられなかった。